堀内貴文@論文読み

主に読んだ論文(主にHCI分野)をまとめるために活用します。

A Virtual Reality System for Practicing Conversation Skills for Children with Autism

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www.mdpi.com

どんなもの?

開発したVRアプリケーション「Bob's Fish Shop」を通し、ASDと診断されたユーザーの社交性とコミュニケーション能力を向上させる研究。現実世界とは異なり、VR空間では失敗の影響が緩和されるというメリットがある。

先行研究と比べてどこがすごい?

従来のASDと診断された子供のためのセラピー手法は、確立された効果はあるものの、費用や機会の制限により、必要とする対象全体にアクセシブルという状況ではない。費用が安く、短時間で効果が期待でき、また「スケーラブル」な手法を確立することがこの研究の意義である。

技術や手法のキモはどこ?

魚を題材としたのは、ASDの子供はペットと同じ空間にいるとセラピー効果が高まると言われているから。また、ASDの子供はテレビーゲームに興味を持ちやすいという結果も出ているため、魚のゲームが選ばれたらしい。

どうやって有効だと検証した?

UnityとOculus Riftで開発したのち、二人のユーザーを対象に実験をした。今後の課題として、より多くの人を対象として検証をする必要があるということ。

議論はある?

ユーザーの「応答までに要した時間」や「応答時の視線の位置」を判定することで、注意力や応答力を計測し、それをセラピーに活かすことができる。これを活用してさらに研究ができそう。

次に読むべき論文は?

MACH: My Automated Conversation coacH

https://affect.media.mit.edu/pdfs/13.Hoque-etal-MACH-UbiComp.pdf

 

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テストユーザーの子供たちからは、ペットショップやドラゴンを買う店、など、VRならではの発想も聞けたらしい。