堀内貴文@論文読み

主に読んだ論文(主にHCI分野)をまとめるために活用します。

TANGIBLE PROGRAMMING WITH AUGMENTED REALITY

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https://www.researchgate.net/profile/Sasa_Mladenovic/publication/323899241_TANGIBLE_PROGRAMMING_WITH_AUGMENTED_REALITY/links/5b90d6db299bf114b7fd90a3/TANGIBLE-PROGRAMMING-WITH-AUGMENTED-REALITY.pdf

- Tangible Programming 周りの関連研究がたくさん紹介されているペーパー

どんなもの?

2018年の研究。子供(幼少期)のプログラミング教育を、直感的な方法で実現するために AR と Tangible を組み合わせた手法の提案。プロフェッショナルな場でしようされるプログラミング言語に対し、教育目的で限定的な機能な言語は「mini language」と呼ばれるらしい。そのような言語の一例は「LOGO (1967年)」というMIT発の教育用プログラミング言語。テキストベースの言語。カメが動き回る機能は結構有名か。学習コストが低く、それでいて言語の自由度は高い。LOGOの中で完結してしまうのではなく、LOGOで書いたプログラムを音楽やグラフィック制作にそのまま応用できるのは魅力的。この方針はプログラミング言語としては結構大切な点だと思う。LOGOはScratchにもインスピレーションを与えたらしい。

el.media.mit.edu

先行研究と比べてどこがすごい?

However, VPLs require a certain amount of the interaction with the technology (the use of a computer with mouse or keyboard or touch devices like tablets or smartphones) and reading ability since instructions are often presented in the textual form. と言っているが、この研究のアプローチでもタブレット型デバイスを使用している。つまりは、直感的に操作ができるインタフェース作りが肝になる、ということ。

先行研究と比べて何かが新しい、ということはあまりなさそう。サーヴェイをして、何が有効かを考えて、効果的だと考えられるシステムを一つ開発した、という流れのペーパーだと思う。

技術や手法のキモはどこ?

For the purpose of teaching programming even before it is possible with VPLs (Visual Programming Languages), visual blocks are then replaced with physical objects such as cards or cubes. Languages that use physical (tangible) objects are referred to as "tangible programming languages" (TPLs). ゲーム性を取り入れている?ところ。プログラミング初学者がドロップアウトする要因の一つは、モチベーションが湧かないことで、ゲーム性を入れればモチベーションが出てくると期待することはできる。これをICTを活用して実現しよう、という内容。

どうやって有効だと検証した?

UnityとVuforiaでのARゲームを開発。物理的なカードを紙の上に並べ、それによってヴァーチャルな箱庭の中で猫が動き、ケーキ(報酬、ゴール)まで正しく導ければ、ゲームクリア、となるらしい。ユーザーを対象としたテストプレイ(ユーザースタディ?)の様子は書かれていないので、有効性の検証はなされていないことになる。

議論はある?

子供用のゲームとして、タブレットをゲームボードの上に保持し続けるのは結構 腕が疲れそう。もう一方の手では、カードをゲームボードの所定の枠に置く、という作業をしているから、必然的にタブレットを長時間片手で持ち続けることになる。ここも課題では?と思った。(もちろんVRヘッドセットなどを使っても、重いことに変わりはないけど。)

次に読むべき論文は?

Reality-based interaction: a framework for post-WIMP interfaces

https://dl.acm.org/doi/10.1145/1357054.1357089

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physicalなゲームボード。子供がものを見るときの見やすい距離?やタブレットが間に入ったときの見やすさ、などを考慮して、カードの大きさなどを決めていったらしい。

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タブレットでバーチャル世界を覗ける様子。

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「スタート」に対応するカードを置くと、バーチャルな猫が指定されたシークエンスで動き出すらしい。