堀内貴文@論文読み

主に読んだ論文(主にHCI分野)をまとめるために活用します。

OmniGlobeVR: A Collaborative 360-Degree Communication System for VR

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https://dl.acm.org/doi/epdf/10.1145/3357236.3395429

どんなもの?

Head Mounted Display (HMD) を装着してVR空間にいる人と、HMDを装着せずに周りにいる人たちとのコミュニケーション手法の提案。ここでは、OmniGlobeVRというシステムを開発している。OmniGlobeVRは、球体のディスプレイとその上部にくっつけられた360°カメラ構成される。HMDを装着せずに周りにいる人は、球体の表面に、VRの世界にいる人の視点から見た映像(もしくはそのプレイヤーの背後からの視点)が映し出され、これによりHMDを装着した人の視覚を共有することができる。HMDを装着した人は、360°カメラにより捉えた映像をVR空間内に「Face Window」として、周りの人の映像が枠の中に表示される。これにより、外の人と中の人とが視覚情報の共有がしやすくなる。

先行研究と比べてどこがすごい?

球体のディスプレイを活用している点に新規制があるらしい。球体のディスプレイとVRの相性がどのように良いのかがいまいちよくわからない。(球体の中から見るなら直感的にわかるけど、球体の表面に映された映像を外から見る場合、どのようになるのかが直感的にはわからない。)

技術や手法のキモはどこ?

360°カメラは、周囲の人の位置などを特定し、VR空間でも、それに対応した方向に表示するように工夫されている。これにより、例えば、VRの外の人が球体のある部分を指で指し示した場合、VRの中の人も、どのあたりが指し示されているのかがある程度はわかるようになっている。

また、球体のディスプレイを見ているときに、回り込んで他の角度から見ることも可能。

どうやって有効だと検証した?

男女12人(男性10人、女性2人;平均年齢25歳)にテストを実施した。ここでは、他のシステムと比較して提案手法の優位性を示すのではなく、このシステム内で複数のインタフェースを用意し、どのインタフェースが最も好まれたかを評価している。具体的には、OnniGlobeに映し出される映像が1人称視点か、3人称視点か、それとFace Windowがあるか否か、の3つの条件が評価された。結果的には、1人称視点・Face Window有り、が最も高評価となった。

(アンケートの実施手法に学べる点が多かった。検証する事柄がこれがベストなのかはわからない。)

議論はある?

third person viewpoint (3人称視点) が否定的に捉えたれていたけど、文章を読む限りでは、物体が遠すぎてよく見えない、というのが問題になっていたように思える。これは三人称視点自体の問題、というよりも、VR空間内のカメラ(視点)の設定の問題のような気がする。

Future work にも述べられているけれど、この研究も解決したい問題は、VRをした人(開発者)と周りで様子を見ている人たち(デザイナーたち)の間のコミュニケーションを円滑にすることが目的で、1対多の場面を想定するべき。今回の検証では1対1の評価だったので、これが今後の課題としてあげられていた。Future work が残っていても、DIS2020に採択されている点に注目(related research や評価に用いたツール・モデルなどはしっかりとしている印象を受けた)。

次に読むべき論文は?

Exploring Hybrid Virtual-Physical Homes

https://dl.acm.org/doi/10.1145/3357236.3395561

 

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