Investigating children's spontaneous gestures when programming using TUIs and GUIs
今回は、子供を研究対象としたインタラクションデザインの学会「IDC」から、TUI (Tangible) とGUI (Graphical) を使ったときの子供の反応(仕草)について。IDC2020に実際に採択された研究。
どんなもの?
子供にプログラミング教育をするときに、どのようなジェスチャーが発生し、それらジェスチャーがどのような学習効果を産むかについて観察した研究。また、TUIとGUIの教育に与える効果も検証されたが、(意外にも)この研究ではこれらの間でも差異は観察されなかった(あくまでこの研究では、という話)。学習効果については、ジェスチャーを使用した子供は高い学習効果が得られている(というだけれど、原因と結果がこの一方通行なのかどうか確かではないと思う)。
先行研究と比べてどこがすごい?
IT教育の際に子供が見せる仕草についての研究は前例がないらしい(数学の学習時の仕草についての研究はそれなりに報告されているらしい);別の言い方をすると、ある操作をするためにどのような動作をするのが理に敵っているか、についての研究はそれなりに行われているが、その操作をしたときの子供の反応についての研究は稀だということ。本研究では、特に教育効果が高いとされるタンジブルなインターフェース(抽象的な概念を具体的に想像する能力や、記憶力の向上などが見込まれる)について、GUIのものと比較することで観察している。
技術や手法のキモはどこ?
(技術的にキモがある研究ではなく、すでにあるツールを使用して、子供の様子を観察した。)
どうやって有効だと検証した?
サウジアラビアの小学生(6歳から7歳)44人に対して、45分間のロボットプログラミングセッションを、GUIのグループとTUIのグループで比較した。Independent variable は「学習効果」と「ジェスチャーの使用」のふたつ。TicaというGUIとTUIを比較することを目的に研究・開発されたロボットプログラミングがあるが、これでGUIとTUIベースのアクティビティを作成して、子供たちにプレイしてもらった。その様子を記録した。
議論はある?
GUIを使うかTUIを使うかによる「ジェスチャーの使用度合い」に差異は見られなかった。また、「ジェスチャーを頻繁に使用した子供」は「ジェスチャーをあまり使用しなかった子供」に比較して、プログラミング問題の正答率が高く、このことからジェスチャーを使用することはプログラミングの理解力を高める効果がある、と結論づけられている(その可能性も十分にあるけど、より正確には、その逆、つまり、プログラミングが理解できた子供は、説明・表現するだけの理解力あり、これをジェスチャーを交えて説明している;理解できていない子供は、ジェスチャー云々以前に、説明できるだけのレベルに到達していないから、ジェスチャーを使う以前の段階で止まってしまっている、ということ。これも可能性としてはあると思う。)。
次に読むべき論文は?
Techniques for augmented-tangibles on mobile devices for early childhood learning
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3392063.3394412