堀内貴文@論文読み

主に読んだ論文(主にHCI分野)をまとめるために活用します。

Tuk Tuk: A Block-Based Programming Game

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https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/3078072.3091990

どんなもの?

子供用プログラミングソフトの制作。「Tuk Tuk」とはインドネシア(著者の出身国?)のタクシーのことで、タクシーで人を拾って目的地まで送り届けることをゲームの目的として、その過程でプログラミング的思考を学ばせることが狙い。

先行研究と比べてどこがすごい?

「Tuk Tuk」では、小学生くらいの年齢の子供にはScratchやSnapでお馴染みの「block based programming」を使い、それよりも幼い子供には「programmning by example」というパラダイムにインスパイアされた手法を使っている。ゲーミフィケーションを取り入れている点。特徴としては、深さ優先探索幅優先探索という、他の子供用プログラミング学習ソフトでは扱っていないテーマを題材に取り得れている点が挙げられる。

"Programming-by-example"は初めて聞いたけど、その前例としては、Topobo (2003; MIT Media Lab)などがある。考え方としては、プログラミング言語によって動作を規定するのではなくて、一回動かして、その動きを「記録」することによって動きを制御する方法。"Programming by Demonstration"ということもある(こちらは主にロボット制御の文脈で用いられることが多い)。

技術や手法のキモはどこ?

(新しい技術や考え方を提案した、という論文ではなく、探索の考え方を子供に学習させるという付加価値のあるシステムを作ったIDC’17のデモンストレーション枠の研究。)

どうやって有効だと検証した?

6歳と7歳の女の子ふたりに対する体験とインタビュー(duration: 1hr)。(ここから学べること:小規模の実証実験でもIDCに採択されている(demo枠))

議論はある?

チェスや囲碁で使われるより高度な探索技術に踏み込むこと。

次に読むべき論文は?

Topobo: a constructive assembly system with kinetic memory

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より幼い子供用には"exmaple-based-programming"にインスパイアされた方法、それより年齢が上の子供には"block-based-programming"で設計されたコントロール手法を使っている。