堀内貴文@論文読み

主に読んだ論文(主にHCI分野)をまとめるために活用します。

VWorld: an Immersive VR System for Learning Programming

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https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/3397617.3397843

どんなもの?

VR空間での子供のプログラミング教育アプリ:VWorldの開発。VRを活用することで、子供の関心をよりよく引き出せるらしい。スクラッチなどの2Dのものとどのように違いを出しているのかが気になる。=> Virtual Coding Blocks というものを使うらし。(同じ?)

先行研究と比べてどこがすごい?

完全にVR空間の中で子供のプログラミング教育を行った例は少ない。VR-OCKSという関連研究があるものの、こちらは子供があらかじめ用意された筋書きに則って操作をしていくため、自発的に何かを想像する体験が削がれてしまうらしい。この研究では子供の創造性を育む設計を実現しているらしい。

技術や手法のキモはどこ?(+感想)

対象としているのが子供ということもあり、デバイスにIPDが調整可能なOculus Quest (1の方)を選んでいる。

VR環境では、まず最初に自分の空間をデザイン(空間内に木々を配置する、など)することから始まる。この時、空間内を動き回るとVR酔いなどを起こしてしまう可能性があるので、mini-mapなるものにオブジェクトを配置していく方針をとっている(Quest用のゲーム「Journey of the Gods」の神の視点からインスピレーションを得ているのかな)。

空間内の移動方法としては、「Questの6DOFを活用して物理的な移動」、「ジョイスティックでの移動」、「神の視点から自分を表したオブジェクトを掴んで別の場所に配置」の3通りの方法が提供されている。

肝心のプログラミング部分については、環境に置かれているオブジェクト毎に「8つ」の「ブロック」をアタッチするための枠が用意されている。この枠に、「移動」もしくは「音を鳴らす」を表すブロックを並び順を考えながら配置し、枠の順番にそって動作が実行される仕組み。物体に動作を実装する点に興味があったけど、Scratchなどに対して新規制はあまり感じられない。VR空間で実施することで、直接「掴んで配置」という体験は新しくて、子供たちの興味を引くことには成功しそう。ただし、現段階はまだ「完成版」ではないらしい。

どうやって有効だと検証した?

VR未経験者かつプログラミングに詳しくない大学生3人に対するテスト。13歳から15歳の子供に対するテストを検討しているらしい。

議論はある?

現状ではオブジェクトの動作として「移動」と「音を出す」のみだが、Future workとしてこの種類を増やしていくそう。

メモその他

- 「TUI:Tangible User Interface」というキーワードでの検索も参考になる。

次に読むべき論文は?

VR‐OCKS: A virtual reality game for learning the basic concepts of programming

onlinelibrary.wiley.com

https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3202185.3210784?casa_token=zUap4q5feuAAAAAA:T3tl4Z9EEGqMnTy0237X8095bQkl_Vl_iACJySC3IQbMg5jT-dhxD2UYLPSQ7AkS899vRkdREdqdIQ

https://dl.acm.org/doi/10.1145/2559206.2579484

 

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オブジェクトに設けられた8つの枠に動作を表すブロックを順番に配置していく。「実行」では、枠に配置された動作を順番に行っていく。